あらゆる困難を鎮めるために演劇はある 『子午線の祀り』成河インタビュー【後編】
萬斎さんもそのことを伝え、多くの人に観てもらうためにはどうすればいいかということを、いろいろ試行錯誤していらっしゃいます。
「みんなを元気づけたい」だけではゆるされない時代
――上演時間が短縮されるということは、中身もだいぶ変わりますか。
コロナ対応でもありますけども、戯曲の要素が凝縮されてより一層見やすくなると思います。まず、セットがガラッと変わります。密を避けるために出演者が(前回の)半数になるので、同じことができないという事情もあったんですが、萬斎さんが素晴らしいアイデアを発明しまして、まったく異なる舞台装置の上で、すべてが行われることになりました。ここまで変わると、もう新作ですよ。大胆だけど、シンプルでスタイリッシュで、この作品を知り尽くした萬斎さんならではの世界になります。
――コロナ禍で、観客の意識も変化していますが、演じる側としてはいかがですか。
疫病の流行は100年単位で繰り返されているわけですから、根本的に自分の職業について考え直すというようなことはなく、僕自身は、向き合い方は特に変わっていません。今いちばん大きく変化を感じているのは、お客様との関係の取り方です。