2022年10月14日 18:00
『鉄道と美術の150年』東京ステーションギャラリーで開幕 浮世絵から現代アートまで150点で鉄道と美術の歴史をたどる
鉄道をモチーフにした美術作品も、単なる風景画にとどまらなくなっていく。谷中安規は、蒸気機関車をモチーフに、幻想的な世界を作り出していった。
左:谷中安規《幻想集 6.空》1933年 東京国立近代美術館右:谷中安規《作品2夜四題のうち街の本(渋谷)》1933年 京都国立近代美術館蔵
また、表現手法も多様化する。笹本恒子は米軍に接収された列車で働く女性車掌を、林忠彦は復員した兵士の姿を捉え、ユージン・スミスは日立製作所での電車の製造風景を皮切りに、稼働する駅や車両、風景をカメラに収めた。
左:林忠彦《復員(品川駅)〈カストリ時代〉より》1946年 東京都写真美術館右:笹本恒子《米軍専用車》〈昭和・あの時・あの人〉より 1946年 東京都写真美術館蔵
W.ユージン・スミス〈日立〉より 1961年 東京都写真美術館蔵
また、駅や電車そのものが芸術作品の「現場」となることもあった。村井督待は、高松次郎、中西夏之、窪田登、村田記一らが山手線の車内や駅構内で行ったパフォーマンス「山手線事件」の記録を撮影した。
村井督待《「山手線フェスティバル」ドキュメンタリー写真》 1962年(プリント1998年)