2024年4月26日 12:30
人と悪魔が奏でる極上の輪舞曲。“音楽の悪魔”中川晃教が魅惑するミュージカル『CROSS ROAD』
ソロナンバー「Prayer Of Rage」では、奥深い歌声を響かせた。
そして特筆すべきは、アムドゥスキアスの中川晃教が発する圧倒的な歌声。音楽を愛する悪魔らしく、また人間を翻弄することをも楽しむかのような、蠱惑的な歌声。中川でなければ、ここまでいきいきと、自在にうねる音の渦によって表現することはできないだろう。タイトル曲「CROSS ROAD」は、まさにその極み。人の心の暗い部分に付け入るのが悪魔の常道とはいえ、悪魔自身が魅力的でなければ十字路、つまり人生の岐路に立つ人間に最後の一線を越えさせることはできないだろう。中川のアムドゥスキアスには、それだけの磁力がある。端的に言えば、この上ないはまり役ということだ。
パガニーニはアムドゥスキアスとの契約で才能が開花、ヴァイオリニストとしてセンセーションを巻き起こす。だが熱狂的に支持される一方で、「悪魔の音楽」と激しく攻撃されてしまう。木内のパガニーニには、悪魔に魅入られることがなければ、ヴァイオリンには挫折しても平凡な、しかし平穏な人生を送る道もありえたのではないかと思える、まっすぐな青年らしさがある。これはおそらく木内自身の持ち味によるものだろう。