2020年1月10日 10:00
独裁者の物語を草なぎ剛がどう演じるか、『アルトゥロ・ウイの興隆』開幕
草なぎ剛とKAAT 神奈川芸術劇場芸術監督の白井晃が、2018年に好評を博した『バリーターク』以来、早くも2度目のタッグを組む。作品は、『三文オペラ』などで近代演劇に多大な影響を与えたベルトレト・ブレヒトの戯曲『アルトゥロ・ウイの興隆』。ナチスに追われて1933年から15年に及ぶ亡命の旅に出たブレヒトが書いた作品だ。ヒトラーが独裁者としてのしあがっていく姿をシカゴのギャングに置き換えて描いた物語で、今回はファンクミュージックをちりばめて再構築する白井版。その初日がいよいよ1月11日(土)に幕を開ける。
シカゴギャングたちが英雄として描かれる映画が人気だった時代。ギャング団のボス・アルトゥロ・ウイは、政治家のドッグズバローの不正取引について情報をつかむ。さっそくドッグズバローをゆすり、それを足がかりに勢力を拡大してゆくウイ。
人々が彼を“英雄”のひとりとして見ているうちに、独裁者への階段を駆け上っていたウイを、はたして誰が抑えられるのか……。
ブレヒトは亡命先のアメリカでギャングの存在に興味をもち、禁酒法時代の伝説のギャング、アル・カポネにヒトラーとの共通点を見つけ本作を執筆。1941年に執筆を開始するも、その初演はブレヒトがこの世を去った2年後、1958年のドイツ・ヴュルテンブルグ州立劇場だったという。