2022年1月7日 17:00
上野水香「いつもと同じようにすべてを懸けるだけ」 東京バレエ団最後の『白鳥の湖』にむけて
オデットは、魔法で白鳥に姿を変えられてしまっても希望を忘れない、儚さと強さを併せ持った女性。完全に鳥として見せるやり方もあると思いますが、王子が恋に落ちるわけですから、やっぱり人間のはずなんですよね。鳥にしか見えない瞬間と人間にしか見えない瞬間がミックスされた、奥行きのあるオデットが私の理想です。
東京バレエ団『白鳥の湖』より撮影:Kiyonori Hasegawa
東京バレエ団『白鳥の湖』より撮影:Kiyonori Hasegawa
オディールで大事にしているのは、悪の象徴であるロットバルトの娘だということ。お父さんに言われたから王子を誘惑しているだけで、本人が悪い子かどうかは分からないと思うんです。ただやはり、王子がどんどん自分に惹かれているのを見て楽しくなってはいるはずだから、いかめしい顔ではなく楽しそうに演じるようにしています。若い時は、ただニコニコしてるだけみたいになっちゃってましたけど(笑)、笑顔の中に含みを持たせたりといったことが、だんだんできるようになった気がしますね。
――今回上演されるのはブルメイステル版ですが、そうした役の解釈に違いはありますか?
解釈自体は変わらないですが、オディールの表現には少し違いがありますね。