2022年5月14日 18:00
渋谷すばる、個性の強いバンドメンバーとの化学反応を起こした『babu会 vol.1』KT Zepp Yokohamaライブレポ
ゆっくりとしたコード進行で魅せていくミドルテンポなこの曲は、“我が強い僕だけど 君にはもうこりごり”という歌い出しから始まり、サビでは“もう来ないでくれないか 二度と僕の目の前に”と唄われる。“一度だけの口づけが こんなに脳裏に焼き付いて”とも記されていることから、特別な存在であった特定される“君”に唄われていることが分かる。が、しかし、結末に渋谷によって叫ばれるその“君”の名は……パクチーなのだ。こんなにも時間と手間と最高のロックバンドを使ってまで“パクチー嫌い”を叫ぶ贅沢さよ。これこそが渋谷すばるなのである。
大きく構えた抜けの良い茂木のドラミングのフロアタム使いは格別で、和音から始まりメロにそっと寄り添うルートベースを奏でる安達のプレイも、塚本の強過ぎない心地良いバッキングも、うっすらと楽器隊の上を滑らせる様な奏法の本間の柔らかな鍵盤音も、気怠い感じの渋谷のハープと、極大工脳を切々と唄う渋谷の唄も、ラストに置かれた“パクチー嫌い”を叫ぶ為に在ったのかと思うと、なんとも心地良い脱力感に包まれるのだ。この日の「パクチー」も、いや、「来ないで」も最高だった。
そして、更に心を奪われたのは、本間のどこまでも優しい鍵盤ソロから、塚本のアコースティックギターに繋がれて始まった「レコード」。