「兵士と一緒に戦争を“体験”する映画」、サム・メンデス監督が“全編ワンカット”の『1917 命をかけた伝令』を語る
他の映画ならば戦争について“知る”が、本作の場合は“体験する”。私がこだわったのはその点なんだ」
サム・メンデスが戦争映画を手がけるのはこれで2本目。最初の『ジャーヘッド』(05)では湾岸戦争を描きつつ、戦闘シーンもなく敵の姿も見せないという異色っぷりだった。考えてみれば『スカイフォール』も、007シリーズの中では異彩を放っている。
「きっと私は、そのジャンルの中で同じような表現を繰り返したくはないんだろうね(笑)。ジャンル全体に自分が貢献したいから、常に新しいアプローチを試したいと考えている。それによってそのジャンルが活性化することがうれしいんだよ」
その試みに大きく貢献したのは『ジャーヘッド』からのつきあいになる名カメラマン、ロジャー・ディーキンス。ワンカット映像が実現したのも、彼の才能が大きくものを言っている。
本作で2度目のオスカーに輝いたのも当然だ。
「私がロジャーに頼んだのは、カメラを3人目のキャラクターにすることだった。ふたりの兵士のあとを常に追いかけていき、決して邪魔しない存在。もし、カメラをブンブン振り回したりしたら、それこそストーリーや兵士たちの邪魔になっただろう。