2023年5月26日 07:00
イキウメ最新作は“人魂”を巡る救いと再生の物語 主宰・前川知大インタビュー
と自信を持って贈る新作。東京公演は6月11日(日)まで、シアタートラムにて。その後、6月15日(木)~18日(日)に大阪・ABCホールにて上演。
取材・文:野上瑠美子撮影:田中亜紀
「観た人の魂に響く体験になれば」前川知大 開幕時コメント
2年ぶりの新作は『外の道』に続く、コロナ後の社会を反映した作品であり、演出的にも今のイキウメだからできるチャレンジが詰め込まれています。
稽古場は最後まで試行錯誤の連続で、なんとか間に合ったという感じですが、本番を重ねながら、確実に進化しているのを感じます。
千秋楽までどう育っていくのか楽しみです。
観た人の魂に響く体験になれば嬉しいです。
(前川知大)
『人魂を届けに』
人魂(ひとだま)となって、極刑を生き延びた政治犯は、小さな箱に入れられて、独房の隅に忘れもののように置かれている。
耳を澄ますと、今もときどき小言をつぶやく。
恩赦である(捨ててこい)、と偉い人は言った。
生真面目な刑務官は、箱入りの魂を、その母親に届けることにした。
森の奥深くに住む母は言った。
この子はなにをしたんですか?
きっと素晴らしいことをしたのでしょう。