2023年2月24日 20:00
【ライブレポート】ドラムセット、パーカッションで即興演奏 シシド・カフカ主宰新感覚リズムイベント『el tempo』2/10duo MUSIC EXCHANGE公演
それぞれ好きなように演奏しているように見えて、随所でバン!と完璧にキメを揃える。そのたびに鳥肌が立った。
シシド・カフカ Photo:TOSHIYUKI KONO
シシド・カフカの想像力と決断力は素晴らしく、全体の流れを把握しながら次に描くべきビジョンをしっかり捉え、ひとつの楽器ももらすことなくサインを与えていく。それによってそのリズムは時に大都会の雑踏を思わせ、時にアフリカの風を感じさせ、時にクラブシーンの混沌に着地させたりする。華々しいスネアとシンバル、表情豊かなコンガ、クリアな響きを持つスルドなど楽器の持つ音色とその重なり方を駆使し、メロディのそれと同じように風景やストーリーを見せていく。奏者にだけでなく観客にもサインを出して手拍子やジャンプを促し、まさに場内一体のセッションを作り上げる様は、見事としか言いようがなかった。
ちなみにもうひとつ、ハンドサインならではの醍醐味がある。それはこの日に行われた、コンダクターと奏者がリレー形式で入れ替わるという試みだ。
ハンドサインは、奏者も内容を理解している。しかもパーカッショニストは、全員がほとんどの打楽器を扱えるのだ。打楽器集団であり、セッションであり、即興音楽であり、サインコミュニケーションだからこそできるパフォーマンスはじつに圧巻だった。