【レポート】千葉市ゆかりの画家の生涯を振り返る『田中一村展』千葉市美術館にて開催中 『ブラチスラバ世界絵本原画展』も同時開催
この人気の高まりを受け、千葉市美術館をはじめ、田中一村のゆかりの美術館が一村の研究を相次いでスタート。平成22年(2010)にようやく一村の回顧展『田中一村新たなる全貌』展が開催されることとなったのだ。
千葉市美術館は、この平成22年の展覧会をきっかけに、千葉市ゆかりの画家、田中一村作品の収集を開始。寄贈や寄託を受け、10年かけて約130点の作品が揃った。この展覧会は、それらの収集品を全公開し、田中一村の画業を振り返るというものだ。
四季折々の画題が描かれた一村の小品が並ぶ
千葉市美術館の一村作品は色紙大の作品が多いのが特徴。彼が暮らした千葉市中央区千葉寺町の風景が描かれた作品も多い。
左《石図》 昭和6年(1931)、右 《椿図屏風》昭和6年(1931)
《石図》や《椿図屏風》は一村が24歳、新しい画風を模索していた頃の作品だ。《椿図屏風》は二曲一双の作品だが、一村が細かく描きこんだのは片方の屏風のみ。もう片方の屏風は金地が貼り付けられただけで、なにひとつ描き込まれた形跡がないという。これは意図的なものなのか、途中で描くのを止めてしまったのか、これからの研究が待たれる作品だ。