【レポート】千葉市ゆかりの画家の生涯を振り返る『田中一村展』千葉市美術館にて開催中 『ブラチスラバ世界絵本原画展』も同時開催
そして、千葉市美術館の収蔵品からは、一村が多岐にわたる分野で才能を発揮していたことも知ることができる。四季折々の風景を描いただけでなく、仏画やデザイン、写真まで手掛けていたのだ。
《十六羅漢図》 昭和23年(1948)頃千葉市在住時代に描かれたもの
《牡丹菊図帯》一村が絵付した名古屋帯
一村が撮影した姉の写真
中央《仁戸名蒼天》昭和35年(1960)頃
しかし、50歳となり一村は奄美大島に渡る。代表作の《アダンの海辺》について、一村は「閻魔大王への土産物」と書簡にしたためている。
《アダンの海辺》昭和44年(1969)
細部まで鮮やかに、そして繊細に描かれた作品はこれまでも多くの展覧会でメインビジュアルとして使われている一村の代表作。遠くから、近くからじっくりと眺めておこう。
そして、最後のコーナーは、田中一村アーカイブ。メディアの紹介によって注目されるようになった田中一村の、これまでの展覧会ポスターや雑誌記事などが並ぶコーナーでは、無名だった田中一村がどのように受け入れられていったのかがよくわかる展示だ。
千葉市美術館の10年かけた田中一村研究の集大成、ゆっくりと鑑賞しよう
また、千葉市美術館では『ブラチスラバ世界絵本原画展こんにちは!チェコとスロバキアの新しい絵本』も田中一村展と同時開催されている。