2022年2月1日 14:00
練り上げてきた片岡仁左衛門の碇知盛、ついに見納め。歌舞伎座『二月大歌舞伎』『三月大歌舞伎』出演
河内山宗俊は幕府お抱えのお数寄屋坊主。上野寛永寺から使わされた北谷道海という高僧に化け、単身松江候の屋敷へと乗り込む。
『河内山』(H27.1大阪松竹座)河内山宗俊=片岡仁左衛門撮影:福田尚武
「どんな悪人であっても、河内山がご直参であることを頭に置いておかなくてはなりません。下品にならないように。人間の大きさが出るように。かといってことさらに大きく見せるのではなく、今までの積み重ねを自然に出せればと思いますね」。
悪に強きは善にもと、という河竹黙阿弥らしい七五調の台詞で知られる。
「七五調で気をつけないといけないのは、言葉のリアルさを失いやすいことなんです。
下座に乗って同じリズムで言うと、お客様が言葉の中から受け取れる意味が少なくなりがちなんですよ。リズムの運びを変える、緩急をつけることで頭に入ってくる言葉の意味が増えると思っていますので、そこは気をつけたい」。
『河内山』(平成24年2月新橋演舞場)河内山宗俊=片岡仁左衛門(C)松竹
勤めるたびに台本を読み込み、どういう人物か、何が起きているのかが分かりやすく伝わるよう腐心する。
「役が決まるとまずは映像を見てみる。そうすると自分でも分かりにくいところが出てくるので、そこから台本にチェックを入れていきます。