くらし情報『【追悼特別寄稿(4)】追悼 大林宣彦さん 自由人の豊かさ』

【追悼特別寄稿(4)】追悼 大林宣彦さん 自由人の豊かさ

この型破りの手法には驚いた。「自由人」だから出来る冒険だったろう。

大林さんの「映画的実験」は近年の『花筐/HANAGATAMI』や『海辺の映画館-キネマの玉手箱』で如何なく発揮されている。
どちらの作品も反戦のメッセージが強く打ち出されているが、決してありきたりのリアリズムの枠にはおさまっていない。具象画の世界に突然、抽象画が現われたような新鮮な驚きがある。
故郷である尾道を舞台にした尾道三部作をはじめ、小樽、長岡、臼杵、唐津など地方を舞台にした作品を作り続けたことも、東京一極集中の時代にあって意味が大きい。
中心に対して、周縁からの抵抗の思いもあっただろう。大林さんの反骨精神を感じる。


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川本 三郎(かわもと・さぶろう)
1944年東京生まれ。映画評論家/文芸評論家。「週刊朝日」「朝日ジャーナル」の記者として活躍後、文芸・映画の評論、翻訳、エッセイなどの執筆活動を続けている。91年『大正幻影』でサントリー学芸賞、2012年『白秋望景』で伊藤整文学賞などを文芸著作で各賞受賞。

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