2023年5月2日 17:00
「監督、俳優の“本気”が映っている作品」中島歩が語る映画『さいはて』
「こんなふうにやっていいんだ」みたいな自信がついていくのが、隣で見ていて手に取るようにわかりました。
俳優って「本当にこの役は自分でいいのかな?」という迷いがあったりするもので。以前、イギリスの演出家と仕事をしたときに、アントニオ・バンデラスだってそんな風に言うことがあるんだよと教えてもらって。アントニオ・バンデラスにあるなら、僕にあってもおかしくないし、「分かる!」って思って少し気も楽になりました。その演出家に「ちゃんと自分に許可を出しなさい」と言われたのですが、今回の北澤さんはまさにそれを体現しているようでした。
中島歩
――北澤さんの自信や変化を感じたシーンの撮影エピソードを教えてください。
中島海に入った後にホテルに行くシーンは印象に残っています。渋谷のホテルに1日中閉じ込められて撮影した大変なシーンのひとつです(笑)。
北澤さんはいつものようにフルスイングで、弱まることなく体当たりしてきました。血のついた足にキスをした後、抱き寄せてまたキスをするのですが、これは台本になかった芝居。現場で何かが生まれたらいいなという監督の思惑が形になったシーンです。
疲れたけれど、充実した時間でしたし、僕にとってもお芝居をやっていく上で、何か新しいフェーズが見えた感じもしました。