押井守監督に小島秀夫が鋭く切り込む『ダロス』40周年記念上映&トークショーレポート
と答える押井監督。その後も、家族というテーマを好む鳥海監督のことや、当時のパッケージの価格など、時折笑いを交えながら、次々と繰り広げられる二人の深いトークに会場のファンも益々魅了されていった。
話はいつの間にか押井監督作品の『トワイライトQ 迷宮物件 FILE538』(以下『迷宮物件』)について広がり、小島監督は「『迷宮物件』のおかげで押井監督作品を知ることができましたから。こんなアニメがあっていいのかと、レンタルを3回くらい借りました」と作品から受けた衝撃を言葉にした。
そして、再び話は『ダロス』に戻り、なかなか理解してもらえない細かな銃器描写へのこだわり、押井監督は特に大量の薬莢が階段を落ちていくシーンについて解説し、執念のカットが生まれた背景が明らかになった。その後もOVAが日本のアニメを海外に広めた1つの要因になったこと、アニメの視聴者層を広げたことなど、二人の多層な視点でその功績を分析しながら、押井監督は「『ビューティフル・ドリーマー』であれだけのことをやってもお客さんが減らなかったから、何をやってもいいんだと思い込んで『天使のたまご』を作ったら全然売れなくて(笑)。3年後にまた懲りずに『迷宮物件』をやって、今度はさすがにもうダメかと思ったけど、監督生命の首を繋げたのはOVAの『機動警察パトレイバー』だった」