現実と虚構が入り混じる──横山拓也×小山ゆうなが語る、ファンタジックなコメディ『ワタシタチハモノガタリ』
みたいなところも共有しながら、やっていきたいと思います。
小山そこにいる本人に聞ける、というのはありがたいですよね。いつも、「百年前の作家さんに(聞きたくてもいないので)聞きたい!」って思います。「これは絶対に思いつきで書いたでしょ!」みたいな。
横山絶対にあると思う(笑)。
文通が、出力のトレーニングだったかもしれない
──フィクションとノンフィクションが混ざり合っていく過程はとても面白く、現代的な感覚もあります。
横山もとは文通というところから立ち上げましたが、これをいまの時代に広めていくのは、やはりSNSだなと思いました。書いているうちに、SNSの世界の中の人格と、現実の人格が乖離している人がたくさんいる社会のことを思ったりして、結果的にすごく現実的な内容がたくさん散りばめられた作品になったかなと思います。
文通については、めちゃくちゃ語りたいことがありまして(笑)。中学3年生になるタイミングで、千葉から大阪に引っ越したのですが、そのとき、4人の友人と文通をスタートさせたんです。
小山!
横山その中のひとりが、ちょっと好きな女の子で──そういう経験があって、この作品の後半で富子に語らせるのですが、手紙って特殊な媒体で、たったひとりのために、ああでもない、こうでもないって巡らせながら書く。