さらに二人のフランス歌曲や武満のソングを含む日本歌曲。最後に歌われるシューマンやメンデルスゾーンの二重唱曲を聴く機会は案外少ないから、これは貴重だ。
「プログラムを決めるのは非常に大変でした。お二人ともとても喜んでくれて、特に寺田君がたくさんの曲を候補に挙げてくれたんです。『とりあえずこんな感じですかね?』と送ってもらったのが、とりあえずどころか膨大なリストで。ものすごく削ってやっと収まりました。
面白かったのは寺田君が、ソロで弾いている私のことを、『単体で弾いている人』という言い方をするんですね(笑)。その“単体ピアニスト”との共演だからこそこれが歌いたいということを考えて曲選びをしてくれたので、ピアノがチームの一人として大きな役割を担わせてもらえる選曲になっていると思います」
なお、先述の小川の言葉にあるように、この歌曲シリーズ第2弾が実現するきっかけを作ったとも言えるのが奥田佳道氏。
今回はプレトークだけでなくコンサート本編にも出演して、曲間に作品解説を担当する予定だ。
歌曲のどんな魅力がソロ・ピアニストに“快感”をもたらしているのだろう。
「やはりまず言葉ですね。器楽ではありえない、直接言葉で訴える表現。