syrup16g、peridots、tacicaの3バンドによるドラマー中畑大樹50歳の宴をレポート
激しい演奏も、複雑な変拍子も、時にアドリブ的なメンバー同士の演奏も、当たり前に乗り切る力量の持ち主である。
syrup16g
しかしsyrup16gで演奏する中畑を見てあらためて感じたのは、中畑は何を差し置いてもこのバンドのドラマーで、五十嵐隆というひどく面倒くさく、先が何も読めない才能の、音楽での盟友であるということだ。言ってしまえばsyrup16gのギター・ロックはperidotsやtacicaと比べてもシンプルで、ストレートである。ただしそこでの中畑はバンドの一員というより、五十嵐が解き放つ感情の翻訳と拡散のための起爆剤の役割を果たしている。共に苦しみ、共に叫ぶ、syrup16gというバンドの完全なる一部分なのだ(その構図は、キタダのベースラインが不動の強さを貫いているからこそでもある)。ここで五十嵐の魂をすくい上げているのは、五十嵐の涙をぬぐっているのは、中畑のドラミングなのだ。
syrup16g キタダマキ(b)
ライブは、冒頭で書いたとおりのアンコールを迎えた。今夜peridotsでキーボードを弾き、過去にはsyrup16gと仕事をしたこともある河野圭を招いてのスペシャルな編成で、中畑は「今日ぐらいじゃないとこんなわがまま言えないから、わがまま言ってみました」