2022年7月6日 12:00
彼らはなぜ“無名の天才クライマー”に魅了されたのか?【映画『アルピニスト』監督インタビュー】
私個人は、命を危険にさらす必要はないと考えているが、マークのお母さんは彼の天職を理解していた。彼は山の中で自分自身を発見し、アルパインクライミングこそが彼が探検したかった自分の世界だったんだ」(モーティマー)
そんなマークは「携帯も所有せず、不要なものは全て捨て、全エネルギーで本当に自分が成し遂げたい目標に向き合っていた」という。
さまざまな情報が溢れ、自分にとって“必要なもの”を見極めることさえ困難なこの時代。マークのこうしたミニマリスト的な生き方に憧れることがあっても、実践することはとても難しい。大切なものや人、目標のために日々、懸命に生きようとしても、ふとなにが正解か分からなくなったり、自分自身すら見失ってしまう日もある。
モーティマーは最後に、マークと出会ったことで受けたポジティブな影響について語ってくれた。
「私も以前よりシンプルなライフスタイルを実践するようになったよ。自分の人生において不要なモノや活動内容は捨てていいことに気づいたんだ。
自分が本当にやりたいことに邁進することに時間を使うようになったよ」(モーティマー)
SNS社会に背を向け、自身の美学や人生哲学にこだわり、ただ純粋に目の前の断崖絶壁に挑み続けたマーク。