森新太郎の演出で歴史劇『メアリ・スチュアート』がどう今に響くか
森は「史実によれば、エリザベスはメアリの死刑執行命令に署名したことを、生涯、後悔し続けたそうです。何がかかる悲劇を招いたのか。シラーは彼女たちの心の内における“理性”と“感情”の葛藤を微細に活写するとともに、世論の脅威や宗教間の確執、国家間の覇権争いがふたりの運命を押し流していく様を巨視的なスケールで描き切りました。このスリリングで無情な人間ドラマを、現代にも通じる政治劇としてよみがえらせたい」とコメント。歴史劇ジャンルを得意とする彼が、今作をどのように立ち上げるのか。また、今回は客席中央に花道を通す特殊形状が設けられるというから注目だ。
キャストも、森が「贅沢な配役」と太鼓判を押す顔ぶれが揃った。タイトルロールのメアリを演じるのは、久々の舞台出演となる長谷川京子。
その姿を一目見、その声を聴けば、誰もが心を許したくなるという魅惑の女王役で新境地を開く姿に期待したい。エリザベスには、ミュージカルでの活躍が印象的なシルビア・グラブ。栄華の頂点を極める立場にありながら、権力者の悲哀を一身にまとう女王をどのような存在感で見せるか。さらに、エリザベスと愛人関係にあったことでも知られるレスター伯に吉田栄作。