2022年9月11日 12:00
【おとな向け映画ガイド】松山ケンイチ、ムロツヨシ、満島ひかり、吉岡秀隆…超個性派俳優が勢ぞろい! クスッとおかしい荻上直子監督の『川っぺりムコリッタ』
猫をリヤカーに乗せた市川実日子主演の『レンタネコ』、生田斗真がトランスジェンダーを演じた『彼らが本気で編むときは、』も、生田演じる主人公が編み物で作るあるものに笑っちゃいながらも、ほんわり心の奥底が温かくなる映画だった。
今回の『川っぺりムコリッタ』、まず役者がすてきだ。松山ケンイチ、ムロツヨシ、満島ひかり、吉岡秀隆、江口のりこ、柄本佑、笹野高史と、これだけの超個性派俳優が並ぶと、映画好きでなくとも、なにかとんでもない“おかしみ”のあるドラマな予感がする。
タイトルも一見わけがわからない感がただよう。「崖っぷち」ほど緊張感がない「川っぺり」。「川縁」より楽しそうな「川っぺり」。「ムコリッタ」は仏教の“生と死の間にある時間の単位”で、48分だそうだ。実は、そのふたつをつなげることで、映画の深いテーマがきっちりと現れてくる。
しかもうっとりするほどリズミカルな語感だ。
ある川っぺりに建つ、築50年になる長屋式ボロアパート、その名も「ハイツ・ムコリッタ」。ここに流れ着いた住人たちのささやかな日常が描かれている。
松山ケンイチが演じる主人公の山田は、北陸の塩辛工場に職を得る。身ひとつで、この町に流れ着いたという風情。