古典歌舞伎の名作から期待高まる新作歌舞伎まで。熱気あふれる「八月納涼歌舞伎」華やかに開幕
夏の盛り、大名(市川染五郎)が腰元たち(市川高麗蔵、澤村宗之助、市川笑也)を相手に舞を舞っている。大名は暑さしのぎに太郎冠者(松本幸四郎)を呼び寄せると、故郷の鵜飼の様子を語らせる。
自らも鵜飼ができるかと尋ねる大名に、容易いことだと答える太郎冠者。しかし、太郎冠者は日頃の憂さ晴らしにと、鵜飼をよく知らない大名に鵜の役をさせて……。鵜匠と鵜が縄でつながれている様子を、幸四郎、染五郎親子がまるで本物の縄でつながれているように全身いっぱいでダイナミックに表現。鵜匠と鵜の関係に見立てた可笑しみ溢れる舞踊劇に、客席からは笑いが沸き起こり、快活な雰囲気に包まれた。
「エッチで悪い男」と語った勘九郎が、初役の新三で観客を魅了
第二部は、河竹黙阿弥による生世話物の傑作『梅雨小袖昔八丈 髪結新三(つゆこそでむかしはちじょう かみゆいしんざ)』で幕開け。祖父十七世中村勘三郎、そして父の十八世勘三郎が当たり役とした新三に、満を持して勘九郎が初役で挑む。
幕が開くと、そこは材木問屋の白子屋。身代が傾きつつある白子屋では、一人娘のお熊(中村鶴松)に婿を迎えようとしている。仲人の加賀屋藤兵衛(市川中車)と奉公人の車力善八(片岡亀蔵)