古典歌舞伎の名作から期待高まる新作歌舞伎まで。熱気あふれる「八月納涼歌舞伎」華やかに開幕
と今年が十三回忌となった十八世勘三郎を思わせるセリフも飛び出すなど、客席からは大きな笑いが起こった。
初鰹を売る魚売りの声や、湯上りの浴衣姿の新三など、季節感に溢れ、江戸市井の生活を活き活きと描き出す本作。筋書に向けたアンケートで新三を「エッチで悪い男」と語った勘九郎が、初役の新三を粋でいなせに勤めあげ観客を魅了した。
続いては、夏の江戸風俗を軽妙洒脱に描いた舞踊『艶紅曙接拙 紅翫(いろもみじつぎきのふつつか べにかん)』。
幕が開くとそこは富士山の山開きで賑わう、浅草・富士浅間神社。庄屋の銀兵衛(坂東巳之助)、団扇売りのお静(中村児太郎)、朝顔売りの阿曽吉(中村福之助)、蝶々売留吉(中村虎之介)、大工の駒三(中村歌之助)、町娘のお高(市川染五郎)、角兵衛獅子の神吉(中村勘太郎)らが揃ってそれぞれ踊る。何か面白いことはないかと口々に言う皆に呼び出されてやってきたのは、江戸で評判の遊芸を見せる紅翫(中村橋之助)。虫売りのおすず(坂東新悟)に続いて面を使った踊りや多彩な芸を披露すると、客席からは大きな拍手が送られた。
最後には賑やかに勢ぞろいの踊りとなり、花形俳優が揃った清新な舞台の華やかな雰囲気で第二部を締めくくった。