というブルガーコフの言葉を紹介。この俯瞰的な視点こそ本作の魅力のひとつであるとし、作家本人と劇中の登場人物の言説や思想を短絡的にリンクさせる見方に疑義を示しており、演出を担当する上村聡史も「時代のうねりの中を生きる人々を実直に見つめている」と語る。
10月に開催されたスペシャルトークイベントより、左から本作演出の上村聡史、千葉大学大学院准教授・大森雅子氏
激動の時代に非常に複雑な立場にあった作家の作品だからこそ、いまの時代に改めて見直すべき作品といえるかもしれない。
いまだからこそ!日本で上演すべき『白衛軍』
以前、英国で本作を鑑賞し衝撃を受けたという演出の上村は、2022年のロシア軍のウクライナ侵攻の報に接し、当初予定されていた作品を差し替えて本作を上演したいと小川絵梨子芸術監督に直訴したと明かしており「遠い国で起きている戦争に僕らが全く関与していないということはなく、どこかで繋がっている」と語る。
なお、上演にあたってロシア語の戯曲ではなく、2010年に英国ナショナル・シアターで上演された際の、アンドリュー・アプトンによりリライトされた英語台本(日本語訳:小田島創志)が使用される。