さらなる変化と出会いを求めて。是枝裕和監督が語る新作『真実』
その状況を壊すにはどうしよう? と思ったりはします」
偶然か必然か『奇跡』が完成した後に是枝監督はフランス人女優ジュリエット・ビノシュから“何か一緒に映画を撮りませんか?”と提案を受けた。「社交辞令よりはもう少し強い感じで、その頃(彼女には)日本で撮りたい企画があったみたいなんだけど、それには乗っからずにかわしつつ(笑)どうせやるならフランスに行って撮りたかった。自分の制作の環境を変えてみようかなという気持ちがありました」
その後も是枝監督の“意図的な変化”は続いていった。福山雅治をキャストに迎えた『そして父になる』、吉田秋生のコミックを原作にした『海街diary』、名優・役所広司と対峙しながら完成直前まで苦しみ抜いて制作にあたった『三度目の殺人』、そして女優・安藤サクラ、撮影監督・近藤龍人から多大な刺激を受けた『万引き家族』……その間もフランスで新作を撮る構想が消えることはなかったようだ。是枝監督は「いつだったか忘れてしまいましたけど、フランス映画祭で来日していたフランソワ・オゾンに“君はフランスで撮っても成功すると思うよ”って言われて……真に受けちゃったって感じです」と笑みを浮かべる。