“炎のコバケン”こと指揮者の小林研一郎による「チャイコフスキー:交響曲全曲チクルス」が目前だ(4月7,13,27日他:サントリーホール)。
この公演は、小林の80歳を祝して昨年開催予定だったところが、コロナ禍によって延期となってしまった公演のリベンジだ。すっかりお馴染みとなった愛称は、独特のエネルギッシュな指揮ぶりと、そこから生みだされる情熱的な音楽に由来する。5歳年上の小澤征爾ともども、日本のクラシック界を牽引してきたこの世代のパワフルさには今更ながら脱帽だ。
1940年福島県生まれの小林は、9歳の時にラジオで聴いたベートーヴェンの交響曲第9番(通称『第九』)に感動して音楽家を志す。東京藝術大学作曲家と指揮科を卒業後、1974年に行われた第1回ブダペスト国際指揮者コンクールでの優勝が、今に至る華々しいキャリアのきっかけとなった。チェコ・フィルハーモニー交響楽団などなど、海外の名門オーケストラを指揮した熱いステージの数々は枚挙にいとまがないほか、日本での旺盛な指揮活動にも眼を見張るものがある。特に、音楽家を志すきっかけとなった『第九』の指揮回数に於いては世界屈指の存在だ。
そして先ごろ、優れた芸術活動を表彰する「2020年度日本芸術院賞」