2021年8月24日 17:00
ケラリーノ・サンドロヴィッチ「いわゆるエンタメとは異なる舞台を目指しました」 ケムリ研究室no.2『砂の女』上演中
不条理な閉塞状況の中で、スリリングで焦燥感に溢れた、そしてエロティックな男女の関係。
それを覗き見しているような濃密な世界観が広がる。
芝居、ステージング、音楽、映像、照明、全てが綿密に編み上げられた劇空間が、目の前に力強く立ち上がった。
開幕に際し「ケムリ研究室」主宰のケラリーノ・サンドロヴィッチと緒川たまきがコメントを寄せた。
【ケラリーノ・サンドロヴィッチコメント】
初日が開けてとりあえずホッとしてます。開幕できるか、稽古中はずっと不安でした。
観客がいる劇場の有り難さ。ご覧になったお客様がどんな風に感じたか知りたいですね。
同じコロナ禍での上演でも、昨年の『ベイジルタウンの女神』は多幸感溢れるエンタメ作品でしたけれども、今年は安部公房ですからね。180度違う。今回は辛辣な芝居です。照明もずっと暗めだし、明るいことはあまり起こらない。娯楽要素はありつつも、いわゆるエンタメとは異なる舞台を目指しました。けれども、砂の谷底の小屋で繰り広げられる男女のドラマは、きっと様々なことを感じさせてくれるでしょう。
安部公房は明らかに理数系の作家ですが、今回僕は、それを無理矢理文系の作品にねじ曲げたのかもしれません。