2020年12月4日 12:00
映画館でお客さんと一緒に観る映画。森山未來と武正晴監督が語る『アンダードッグ』
(森山)
黙々と働き、練習し、リングの上でしのぎを削る男たち。そこには説明はない、言葉で無駄な解説はしない。しかし、これまで人気を得たボクシング映画がすべてそうであるように、本作も観る者が彼らの背中を追い、試合の結果に関係なく、男たちの“勝ち負け”に想いをはせることができる作品になった。
「ラストの試合は、撮影に来てくれた1000人のエキストラの方の力が大きいですよね。実際に試合を観ているような熱があって、おのずと拍手が起こり、試合の結果に関係なく盛り上がってくれた。改めて"観客ってありがたいなぁ”と思いましたし、試合が終わった時に晃が何をするのか? そこをこの映画で一番見せなきゃいけないところだと思いました。あれはリングの上にいる晃ひとりではできることではなくて、対戦相手もいて、セコンドがいて、観客がいるからできることだと思うんですよね」(武監督)
「晃はかつてやったタイトルマッチに心と身体を置いてきたままになったいるわけですけど、その男が改めてボクシングに向き合う。それは現在の自分を確かめていく時間でもあったと思うんですよ。
だから試合が結果がどうであれ、これまでは試合の“勝ち負け”に感情が動ききらなかった男が、その結果をちゃんと受け入れていく。