2022年9月25日 12:00
【おとな向け映画ガイド】空気の読めない男の優しいこだわり──阿部サダヲ主演『アイ・アム まきもと』
自分の考えで突き進み、人の話をきかない。しかもかなり変わっている。もしも知り合いにいたら、できれば距離をおきたい。でも、映画で観る分には安心して凝視できるし、「ふふ、こりゃ変わってるなあ、でもわからなくはないな」と、過激な個性のえぐさがたまらなく面白い。
市役所の福祉局「おみおくり」係の職員だ。みよりがなく独りでなくなった人を火葬して無縁墓地に埋葬するところまでが本来の仕事だけど、牧本さんは自分で独自のルールを作っている。葬儀は絶対にやる(費用はどうやら彼の自費負担のよう?)、なんとしても関係者を探す、納骨はみよりがでてくるかもしれないのでぎりぎりまでしない。だから彼の机の周りは白い骨箱でいっぱいだ。
牧本さんは、独身で人付き合いは、ほとんどない。格好は洗濯機で洗える3着の同じスーツを着回す。釣り用のベストを愛用し、遺品とか何でもそれに突っ込む。つまり合理的。遺体回収の際の異臭は平気だが、人のタバコの煙に弱い。おみおくりした人の遺品を夜中にスクラップしている……。牧本さんがやっていることは決して悪いことではないので、まわりは迷惑しているが文句のつけようがない。世間の常識を説明しても、きょとんとして「(おっしゃているイミが)