ルサンチマンが全国ツアーファイナルで明確に打ち立てたアイデンティティ【ライブレポート】
これもツアーを通して獲得した、ルサンチマンの新たな成長と言っていいだろう。
「忘れそう」も強く心に残った。10代の頃のネガティブな記憶をもとにしながら、〈想いも記憶も全部歌える〉というフレーズを響かせるこの曲は、北のリアルな体験がもとになっている。バラード的な曲調から始まり、徐々にテンポアップしていくアレンジ、そして、「この曲を歌うと50%の確率で声がつぶれる(笑)」(北)という言葉通り、強い感情を注ぎまくった歌。リリック、サウンドの両面で、ルサンチマンの魅力が凝縮された楽曲と言えるだろう。
「ツアーにぴったりな曲をやります」(北)と紹介された「どうしようもない」からライブは後半へ。「nihil」「lazy」といったインスト曲、結成直後からライブアンセムとして活躍し続けている「ニヒリズム」、〈変わらないで欲しい〉という大合唱が巻き起こった「なさけないうた」。そして、性急にして鋭利なアッパーチューン「荻窪」「十九」でフロアの高揚感は頂点に達した。
アンコールで“NO”を叩きつける「いやいやいやいや」、超アグレッシブなインスト曲「ikki」を放ち、ツアーはエンディングを迎えた。最後まで集中を切らすことなく、ヒリヒリとした緊張感と圧倒的なカタルシスを同時に感じさせる演奏を続けた4人。