2023年3月10日 12:00
舞台ならではのダイナミックさで魅せる! ミュージカル『SPY×FAMILY』ゲネプロレポート
接触できるのは彼の息子が通う名門校「イーデン」の懇親会のみ。その懇親会に潜入するべく、〈黄昏〉は精神科医ロイド・フォージャーに扮し、家族を作るために妻と娘を探し始めるが……。
製作:東宝(C)遠藤達哉/集英社
戦闘機が飛ぶ音、響く爆撃音。そんな物々しい中から始まったオープニング。そして泣いている子どもを見つめ、手を伸ばそうとするものの、目を伏せる〈黄昏〉。まるで〈黄昏〉の過去を示唆しているような、ドキリとする始まり方だ。
が、場面は転換し、「100の顔を持つ」というスパイ・〈黄昏〉の仕事ぶりをポップに紹介していく。目まぐるしく変わっていくセット、華やかなダンスと歌で一気にその世界観を伝える。
さらに生のオーケストラによる音楽が物語を盛り上げ、観る者の心を高揚させていく。そして、やはり圧倒されるのは鈴木拡樹の存在感だ。姿を現した瞬間に、そこには〈黄昏〉がいた。彼が動くたび、セリフを放つたびに『SPY×FAMILY』の輪郭をしっかりと模られていく。
製作:東宝(C)遠藤達哉/集英社
製作:東宝(C)遠藤達哉/集英社
アーニャ(増田梨沙)も、すごい。孤児院にいたアーニャは人の心を読む能力があり、〈黄昏〉の心を読んで頭の良い子どものふりをして気に入られ、見事に里子として引き取られることになる。