2023年10月31日 18:00
一〇〇本ツアー終了の翌日に行われた一〇一本目の追加公演 ツアーのすべてとこれまでの森山直太朗の歩みを感じられた壮大なライブの模様をレポート
(Photo:鳥居洋介)
17時にNHKホールで始まったライブが終わったのは、21時だった。あいだに20分の休憩を挟んだとは言え、長いライブだった。
けれど、その長さを集まったオーディエンスの誰もが求めていた。この長さがなければ表現できないライブなのだと誰もが知っていた。なぜならこれは、森山直太朗の表現者としての20年、いや、人生丸ごと40数年の道のりを辿っていく音楽絵巻なのだから。
前日の10月22日に、同じNHKホールで、昨年6月より【前篇・中篇・後篇】の3つのターム、形態に分けて行われてきた、自身史上最大の「一〇〇本ツアー」の千秋楽を迎えたばかりだった。翌日のこの日は、追加公演という位置づけで、【前篇・中篇・後篇】をすべて味わえるフルコース的なライブだった。
前篇を弾き語りで離島や全国のホールを舞台にたったひとりで、中篇をバンジョーやフィドルなどのブルーグラス・スタイルでブルーノートなどのジャズクラブで、そして後篇をフルバンドで駆け抜けた「素晴らしい世界」ツアー。その足跡を振り返りながら辿っていく今回のライブ、直太朗はギターケースを携えてひとりステージに現れた。ギターケースを置き、そのままステージ前方中央に立つと、アカペラで「しまった生まれてきちまった」