2022年11月26日 14:10
台本のない住民のリアルな声が創る劇世界 ブス会*新作『The VOICE』開幕レポート
撮影:宮川舞子
ブス会*2年ぶりの新作公演となる『The VOICE』が、11月24日(木) 杉並区西荻窪にある遊空間がざびぃにて開幕した。
2010年に主宰のペヤンヌマキによって旗揚げされたブス会*では、"自分ごと"を起点に現代を生きる女性に焦点を当て物語を描いてきた。今作は新たな切り口として、ペヤンヌ自身も当事者である杉並区の「都市道路計画問題」をテーマに、街に住む人々の声を舞台上で紡いでいく。また、「音楽伝承劇」として音楽監督を担当する向島ゆり子が生演奏で舞台に色を付ける。
台本がないという本作の下敷きとなるのは住民の声。劇場近隣の店に取材に出向いたり、稽古場に住民を招いて話を伺ったこともあったという。地域に密着して集めたリアルな声を元に、ペヤンヌと俳優陣、スタッフ陣が力を合わせて劇世界を創り上げた。
舞台を見守るのは大きく聳え立つメタセコイヤの木。木を中心に、色鮮やかな衣装に身を包んだ俳優たちが言葉を掛け合っていく。出演者が1人複数役を演じる本作では、役どころによって大きく変化していく俳優の演技も見所となっている。
昔からの住人、蕎麦屋を営む夫婦、コロナ禍に上京した大学生、主婦、床屋……。