くらし情報『松本白鸚「兄として誠に誇りと思う」 中村吉右衛門の一周忌追善公演『秀山祭九月大歌舞伎』初日レポート』

2022年9月6日 15:00

松本白鸚「兄として誠に誇りと思う」 中村吉右衛門の一周忌追善公演『秀山祭九月大歌舞伎』初日レポート

仁左衛門は、由良之助の持つ剛柔さを色気たっぷりに魅せ、海老蔵の平右衛門、雀右衛門のおかる兄妹の情愛と哀感が観客の心を惹きつける。登場人物それぞれの本心が明らかになり、人間模様をドラマティックに描き出す密度の高い芝居が展開され、客席から送られる力強い拍手の音がいつまでも止まない初日となった。

仁左衛門は筋書のインタビューページにて、「播磨屋さんとは同じ年齢で仲が良く、若い頃はよく皆で一緒に遊びました。後進の指導という意味でも歌舞伎界にとって非常に大事な方で、亡くなられたことはとてもショックでした」と淋しさをにじませている。また今月が「市川海老蔵」の名で最後の歌舞伎座出演となる海老蔵は、自身が演じる平右衛門について「人間味があって魅力的な人物」と表現。さらに、これまでいくつもの役を教わった二世吉右衛門については「歌舞伎の魅力をご自身の中で吟味して熟成して、爽やかにお勤めになっておられました」と語っている。幕切れは、重厚な舞踊劇『藤戸(ふじと)』。平成10(1998)年、広島の厳島神社の奉納歌舞伎で二世吉右衛門が松貫四の名で構成して初演し、歌舞伎座や比叡山薪歌舞伎でも上演された。
能の『藤戸』を素材に、戦によって子を失った母の悲しみに焦点を当て、命の尊さへの想いが込められている。

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