2023年7月17日 12:00
【おとなの映画ガイド】“猫好き”からにじみでる「男らしさ」とは? 可愛さ・賢さ・優しさ満載の映画──『猫と、とうさん』
ホンは「彼はより柔らかく、より忍耐強く、何より思いやりのある人間に成長したようです。そのため、同じような変化を遂げた男性を探し、そのストーリーを記録したいと思うようになりました」と語っている。
「有害な男らしさ(トキシック・マスキュリニティ)」という言葉がある。「男は泣いてはいけない、タフであれ、感情を表に出すな」、そんな、男はこう振る舞うべきだといわれてきたことに、マイナス面もあるという考え方。
映画に登場する9人は、伝統的に男っぽい仕事をしている男性たちが多いが、みな一様に、そういった負の側面から解放されているようにみえる。やさしく、他者に対して思いやり深い。それはどうやら、猫たちの「教育」によるもののようだ。
撮影が始まったのは2020年。コロナの感染拡大に直面し、おのずから、パンデミックに彼らがどう対応したかをカメラに収めることになる。外出もせず、ペットたちと共に、静かに身を潜めるようにして暮らした日々は、彼らの絆を一層強くしたにちがいない。
特に、ニューヨークの路上生活者で、脳性麻痺になってしまうデヴィッドと、彼の生きがいであり、希望の星であるラッキーにとっては、まさに試練の1年。