サブタイトル的に、「万里一空」というモットーも掲げた。出典は宮本武蔵の『五輪書』で、目標に向かって努力し続けることを意味する言葉。
「さらに極めていきたいという希望を込めました。さいわい忙しくさせていただいていますが、仕事に追われると、落ち着いて自分の声を見つめ直す時間もなくなってきます。成長を終わりにしたくない。海外研修も、さらなる飛躍のためでした。コロナ禍で今まで取り組んでいなかった曲を勉強する時間ができたり、レパートリーにも変化があったので、あの研修期間がなかったら、今の声になっていなかったと思います」
ⒸJUNICHIRO MATSUO
武蔵野音楽大学とジュリアード音楽院で学び、シカゴ・リリック・オペラで活動をスタートした。アメリカでの経験がキャリアに大きく影響している。
たとえば幅広いレパートリー。今回のリサイタルのプログラムにも、イタリア語、ドイツ語、英語、フランス語の作品が並ぶ。
「日本では国や言葉でレパートリーを分けて考える傾向がありますよね。僕はどの言語も等しく大事にしてます。アメリカはそういう考え方で、必要な言語はすべてトレーニングする。そのうえで、言語や時代、スタイルを問わずに、自分の声種に合うレパートリーを網羅していくというのが僕のスタイルです。