くらし情報『重心をかけてぶつかり合う二人の、切ない疾走 『スリル・ミー』Review1 尾上松也×廣瀬友祐 ピアノ:朴勝哲』

2023年9月18日 12:00

重心をかけてぶつかり合う二人の、切ない疾走 『スリル・ミー』Review1 尾上松也×廣瀬友祐 ピアノ:朴勝哲

ミュージカル『スリル・ミー』より左から)尾上松也、廣瀬友祐 撮影:田中亜紀

撮影:田中亜紀



2011年の日本初演に始まり、今回で8度目の上演となるミュージカル『スリル・ミー』が東京芸術劇場シアターウエストにて開幕した。1924年にアメリカ・シカゴ郊外で起きた青年ふたりによる少年誘拐殺人事件を下敷きとした本作は、事件の当事者である“私”と“彼”、その独白と対話のみで構成し、二人の関係性と心理に究極的に迫った異色ミュージカルだ。栗山民也演出のもと、さまざまな魅力ペアが演じ繋いで来た本作に、2023年バージョンでは尾上松也×廣瀬友祐、木村達成×前田公輝、松岡広大×山崎大輝の3組(配役はすべて“私”ד彼”)が挑戦。本記事では、それぞれのゲネプロ(最終リハーサル)観劇での雑感を、稽古に入る前の取材で3組が語った意気込み等を振り返りながら、ペアごとに記していこうと思う。

一番手に登場したのは、「昭和生まれの二人」とお互いを揶揄して笑い合っていた年長ペア。34年前に起こした事件を“私”が回顧していく構成ゆえ、50代の今の“私”と未成年だった過去の“私”、その演じ分けが作品の要となる。松也の声の明瞭さ、多様な音色を操る技術の確かさは出自を思えば言わずもがなで、第一声の悔恨の重みがズシンと腹に響き渡る。

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