リドリー・スコット監督『ナポレオン』はスケールがケタ違い! 戦闘シーンも愛欲シーンも、ごまかしなし。──【おとなの映画ガイド】
なかでも、予告編にちらっと出てくる、凍てついた湖の上の戦いは常識を超えている。東京ドーム8.6個分の広大な野原を氷の湖にし、馬が落下するための大きな穴を掘って戦場を作った。ナポレオンが軍に砲撃を命じ、敵の馬が氷の穴に落下する。機械仕掛けの馬も利用し、カメラ8台で撮影したという。特殊効果を担当したのは『グラディエーター』でもスコットと組んでオスカーを獲得したニール・コーボールドだ。
ところで、公開されたばかりの『翔んで埼玉〜琵琶湖より愛をこめて〜』のポスターにGACKTと二階堂ふみが馬にまたがるビジュアルが使われているが、あの元絵は、『サン=ベルナール峠を越えるボナパルト』という有名な肖像画だ。ナポレオンの時代は、戦いも含め様々な歴史上のできごとが絵画で描かれ、現存している。
例えば、ナポレオンの戴冠式のシーン。世界史の教科書や参考書によく使われるこの絵画を、本作は忠実に再現した。
その戴冠式に同席し、ナポレオンから皇后の冠を授けられるのが、彼の妻ジョセフィーヌ。『ミッション:インポッシブル』シリーズにも出演したヴァネッサ・カービーが扮している。この夫婦の何とも熱烈で、いっぷう変わったラブストーリーが、「英雄とよばれ、悪魔と恐れられた」