「誤発注しました!助けて!」誤発注が嘘だったら購入者は返金を求められる?
、本人名義であっても他人に譲渡する意図を秘して口座開設をし、預金通帳の交付を受けた事案においても、そのような意図が銀行側に明らかとなっていれば預金通帳を交付することはなかったとして、結果的に詐欺罪の成立を認めています(最判平成19年7月17日)。
この判断が誤発注事例にそのまま当てはまるとは限りませんが、少なくとも当然に成立しないということはなさそうです。
人の親切につけ込むという手口は、悲しいかないつの時代もあり得るもの。古くは財布を落としてしまったから……として交通費の寸借詐欺などが思い出されますね。
そんなことが繰り返されると、本当に困っている人も色眼鏡で見られてしまい、とても生きづらい世の中になりかねません。裁判所職員がつけているバッヂは三種の神器のひとつである八咫(やた)の鏡がモチーフになっておりますが、その意味合いは、鏡が非常に清らかで、はっきりと曇りなく真実を映し出すことに由来するそうです。
情けは人のためならず、いつも心置きなく他人に親切でいられるように、ひとりひとりが心の中に真実を映し出す鏡を持っていたいものですね。
*著者 大達 一賢(エジソン法律事務所。