民主主義の精神に反する、一番の愚行とは? ~「選挙」を考える『日本国民のための 【明解】 政治学入門/髙橋洋一 著』より紹介
企業の広報戦略と同じだ。
その帰結として、選挙結果がある。
公約を見て投票する人、イメージで投票する人、さまざまだろうが、結局のところ、すべては有権者の総意であるとしか言いようがないのである。
当選した人の国会議員としての活動が、個人的にどうしても気に入らないとしよう。
「前回はその人に投票してしまったが、とんだ見当違いだった」と思うのなら、その人を責める以上に、その人に票を投じてしまった自分の見識の浅さを反省したほうがいい。
そのうえで、次の選挙ではもっと深く考えて投票すればいい。
「前回、その人に投票しなかったが、その人が受かってしまった。案の定、とんでもないことばかりする」と思うのなら、次回も違う人に投票すればいい。
自分と同じような見方の人が過半数ならば、結果をひっくり返すことができる。
一票の力は単独では微小だが、数が集まれば力になる。
くれぐれも、「自分が投票しようとしなかろうと、選挙の結果は変わらない」などと考えないことだ。そのような考えで参政権を放棄することこそ、民主主義国家に暮らしながら民主主義の精神に反する、一番の愚行といっていい。
【著者プロフィール】髙橋洋一(たかはし・よういち)