2022年11月25日 12:00
セルフィがアートに生まれ変わる——Taiseiによる個展『30』が原宿にて開催 限定のポートレートイベントも
僕は今年で30歳になります。来て頂いたみなさんには、個展「30」を通して、少し大げさな表現ですが、僕の30年の人生を見てもらえたらと思います。
この先の10年は、僕の作品を見つけてくれて愛してくれる人たちに、沢山の景色を見せられるように、そして同じように夢を描く人たちの背中を押せる存在になれるように……。”
芸術の文脈は宗教や歴史といった煌びやかな要素だけでなく、自然主義的な要素からも生まれ続けてきました。バルビゾン派は例に及ばず、大衆芸術が花開く19世紀の終わりに現れたアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックは享楽に耽る頽廃芸術家として広く知られていますが、言葉を替えれば最も時代に即した美を表現する画家でもあります。
『ムーラン通りのサロン』を通じて見えてくるのは、夜毎の騒乱を愉しむ熱狂だけではなく、日々を生きる人々の空隙から生まれる心地よさや豊かな情感です。技巧や芸術論の外にあって、ただ鑑賞者に滲み入ってくるそれらは、時代を現代へ移しても損なわれることなく、共感の美としてTaiseiのアートワークの中にも息づいています。スマホを取り出した瞬間の横顔や、ストローに口を寄せるために丸めた背。