くらし情報『串田和美が運命に立ち向かうリアに挑む。『KING LEAR -キング・リア-』まつもと市民芸術館にて開幕。』

串田和美が運命に立ち向かうリアに挑む。『KING LEAR -キング・リア-』まつもと市民芸術館にて開幕。

また、エドマンドは本作一の策略家だが、その邪悪さのきっかけは、父であるグロスター伯爵からの心無い言葉。この役を演じる串田十二夜は、この台詞を吐かれた瞬間にひどく顔を歪ませ、エドマンドの人間性がこの時、根底から変わってしまったことを印象付けている。

しかし本作の見どころはなんと言っても、実に45年ぶりだという串田和美のリア王だ。

串田和美が運命に立ち向かうリアに挑む。『KING LEAR -キング・リア-』まつもと市民芸術館にて開幕。


上の娘たちからのおべっかに相好を崩し、裏切られたと知るとせわしなく歩き回りながら「地獄の悪魔!」と悪態をつく。大自然に向かって叫んだかと思えば、「俺は忍耐の鑑になってみせる」と言って踏ん張る。遂に狂気に囚われながらも、「生まれ落ちると泣くのはな、この阿呆の檜舞台に引き出されたのが悲しいからだ」と鋭い洞察を述べ、最も愛した存在を喪うと、その亡骸を呆然と引きずり、最後に残った僅かな感情を使い果たして倒れ込む。

そうした姿、台詞の一つ一つが串田の肉体を通して圧倒的な迫真性を持って発せられ、愚かしく、間違いも犯してきたが過酷な運命に果敢に立ち向かうこの主人公から、観客は目が離せなくなる。80歳のリアと同年代であり、リアと同じ、いやそれ以上の強靭な精神の持ち主である串田だからこその表現なのだろう。

新着くらしまとめ
もっと見る
記事配信社一覧
facebook
Facebook
Instagram
Instagram
X
X
YouTube
YouTube
漫画家・脚本家募集LPバナー 上へ戻る
エキサイトのおすすめサービス

Copyright © 1997-2024 Excite Japan Co., LTD. All Rights Reserved.