核戦争後の世界を舞台にしたブラック・コメディ『イエス、たぶん』日本初上演決定 マルグリット・デュラス幻の戯曲を劇団「池の下」が上演
■マルグリット・デュラス
マルグリット・デュラス(1914-1996)は、フランス文学を代表する作家・映画監督。彼女の作品は、抑制された情感と鋭い観察力を持ち、愛、欲望、孤独、そして記憶と忘却を深く探求して行きます。『インディア・ソング』はカンヌ映画祭で特別上映され、寺山修司など多数の映画人に衝撃を与えました。ゴンクール賞を受賞した代表作『愛人』は、彼女の独特な文体と鋭い感性を象徴し、世界中で高い評価を受けました。彼女の創作は、文学と映像の枠を超え、人間の内面を鋭く描き出すことで、多くの人々に感動を与え続けています。
■『イエス、たぶん』について
マルグリット・デュラスの『イエス、たぶん』(1968年)は、核戦争後の荒廃した世界を舞台にしたブラックコメディです。
記憶を失った二人の女性と、戦争に囚われた兵士が織り成すこの物語は、今なお続く戦争の愚かさを鋭く照らし出します。放射能に侵された世界で、彼女たちは無垢な視点から新たに「生きる」という行為を再定義し、記憶と忘却の狭間で、自分たちの歴史を作り始めます。
デュラスが描く絶望と希望が交錯するこの作品は、観る者に戦争の無意味さと人間の再生力を強く訴えかけ、56年を経てもなお、現代に鮮烈なメッセージを放ち続けます。