芝居処 華ヨタが小林多喜二『蟹工船』を上演 先行予約の受付は7月31日(水)まで
※本作品は原作・脚本ともに特定の思想や主義について強く主張する側面を持ちますが、本公演及び本公演関係者は必ずしもこれに賛同、肯定するものではありません。
脚本:近藤輝一
演出:内田 達也
演出家 内田 達也より上演に寄せて
僕は、「蟹工船」という本の価値は、当時の労働者の実態を描いたことやストライキを肯定したことだけではないと考えている。95年経った今、小林多喜二の考え方や政治的思想、プロレタリアという言葉や社会主義、共産主義の是非をこの本を通じて考えることはそれほど重要でない。 だとしたら、この本から今僕らは何を見出せるか。 それは、真剣に自分たちの生活や住んでいる日本をより良い状況にしたいと願い、行動した人々の存在であり。その瞬間彼らは間違いなく世界の中心にいて自分たちの存在を証明しようと生きていたということじゃないだろうか。 発表から95年経った今、この作品を演劇として上演することは彼らの戦いの記憶に乗っかるような浅ましい行為に思われるかもしれない。しかし、その浅ましさも含めて、この作品を通じて自分たちの生きる意味を再考することができる切っ掛けを演劇で創りたい。 僕が演劇を大好きになったのは、上演されているその瞬間、劇場が本当に世界の中心にいるように感じたからだった。