2023年10月19日 15:00
【node hotel】黑谷和紙作家 ハタノワタル展「素 SUBTLE」を node hotel にて10 月27 日より開催
そしてそこで出会った暮らしの中の「闇」という存在に、人の創造力の源を見た気がする。
闇は夜広がるだけではなく、古い民家の中にも存在する。天井を見上げれば、真昼でも太い梁の上に真っ暗な闇が広がり、何かうごめいているような気がする。押入れの奥、破れた障子の向こう、床の下。その闇は人の想像を超えたものを含み、真っ白な空間で人類中心的な発想へ向かう人々に立ち止まることを気づかせてくれる。自然への畏怖、人ともののけのあいまいな境界、そこから生まれる気づきや教え。闇は人の行き過ぎた行為を抑制し、そして過去の暮らしを彷彿させる大切なものを感じさせてくれる。
私はそのような闇を作るために「積み重なったもの」シリーズの「黒」の制作を10年ほど前からはじめた。
暮らしの空間にもう一度闇「黒」を作ろう。
そしてその黒は素朴ではあるけれど、複雑で繊細な黒。
ハタノワタル
ハタノワタル(Wataru Hatano) プロフィール
過去からつながってきた物事に興味を持ち表現するアーティスト。800年の歴史をもつ「黑和
紙」の産地である京都府・綾部にて和紙を漉きながら、静かに自分と向き合う時間を絵画や空
間を通じて提案する。