くらし情報『「わび・さび・幽玄」をモダンに表す世界観が魅力、菊池遼個展「存在の輪郭、輪郭の存在」をニセコで開催』

「わび・さび・幽玄」をモダンに表す世界観が魅力、菊池遼個展「存在の輪郭、輪郭の存在」をニセコで開催

菊池はこのように、目に見えるものは実は確かなものではなく、私たちの頭の中で作られた現象にすぎない、と考えています。
そうした目に見えるもののあり方を表現しているのが、〈void〉という絵画シリーズです。〈void〉の作品は、イメージが確からしく見えたとしても、近づいて見るとかたちがぼやけて消えてしまいます。それによって、ものの「存在」の脆さやはかなさを表現しています。

一方で、菊池はものの「輪郭線」にも注目します。私たちが何かをかたちとして認識すると、そこには必ず輪郭線が生じます。先ほどの発想によれば、かたちは私たちの見方や考え方によって変わるものです。しかし、どれだけ見方や考え方に応じてかたちが変わったとしても、「輪郭線」はいつでも「輪郭線」です。
つまり、目に見えるものは私たちの認識によって作られる現象ですが、「輪郭線」はいつでも変わらない実在として捉えられているのです。
この考え方は、古代ギリシャの哲学者プラトンが考えた「イデア」に似ています。イデアとは、私たちが目で見る世界の背後に、変わらない本当のかたちがあるという考えです。菊池は、「輪郭線」こそがそうしたものだと考えています。

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