霜降り明星せいや、高校の新学期「1軍に入らないと…」焦りが生んだしくじり
ゴミ箱から離れてペットボトルを投げて、上手く入れば盛り上がるというすごく単純なゲームだが、グループを作れたことに安心してか、異様な盛り上がりを見せていた。「俺たち私たち、早くもこのクラスの『一軍』です」みたいな顔にさえ見えた。
「このグループに入らないと……」
盛り上がる景色を目の当たりにして、イシカワは焦ってしまった。なんとかこのグループに入れるようにみんなの気を引きたい。
そんなとき、ひとりの女子が「どうやったら上手くペットボトルをゴミ箱に投げられるんだろうね?」とみんなに尋ねていた。ここでイシカワは人気漫画『スラムダンク』の主人公・桜木花道のあるセリフを思い浮かべた。
「あれ、このタイミングでこのセリフで入っていったら、みんな笑ってくれるんじゃないか?」
いきなり飛ばしすぎかもしれないが、「よし、行ってみよう!」とイシカワは意を決してそのグループに近づき、ペットボトルをバスケットボールに見立てて、「左手はそえるだけ」と『スラムダンク』の作中のモノマネをかまし、笑いを誘おうとした。しかしそのネタを披露した結果、とんでもない空気になった。
泣きたくなるくらいの冷たい静寂が教室に流れ、イシカワにとっては1秒が10分に感じてしまう、それぐらい凍てついた雰囲気になってしまった。