『海に眠るダイヤモンド』端島炭鉱の実態は? 監修・黒沢永紀氏が解説
海底水道ができる前の端島には、1日に3回、真水を運搬する船がやってきて1500トン分のタンクに貯水。炭鉱長の邸宅や職員住宅には水を運ぶ従業員が 。炭鉱員たちは毎日自分で、給水栓のもとへ行き、水券と交換に水を自宅へ運んだ。1日に1回汲んだ水を水瓶に溜めて、少しずつ大切に使っていたのだ。
第1話で描写された炭鉱員の風呂も一番湯と二番湯までは海水、上がり湯のみ真水だった。「いくつかの浴槽を経由して汚れを落とし、最後に真水のシャワーで洗い流す。炭鉱員は怪我も多かったと思いますが、おそらく海水が滲みて痛かったのではないか」と、黒沢氏は推察する。風呂と同じように多くの水が必要な学校のプールも海水を使用。
特にタンクの水がなくなると、各家庭でも洗濯の下洗いに海水を使用するなど、工夫して生活する必要があったのだ。
そんな日常の不便さを解消するために立ち上がったのが、第3話で登場した海底水道プロジェクト。アメリカの原油パイプライン技術を参考に、端島と隣の高島を、本土の野母崎の水源と繋ぐ、水深45メートル、延べ11キロメートルにも及ぶ、世界でも類を見ない日本初の海底水道が造られた。
海底水道の完成後は各家庭の蛇口を捻れば水が出るようになったのだが、それまで制限されていた反動もあってか水の使いすぎが多発。