くらし情報『“いのち”は受け継がれる。ヴェンダース監督が語る新作『Pina』』

2012年2月23日 18:41

“いのち”は受け継がれる。ヴェンダース監督が語る新作『Pina』

「ピナに『とにかく早く撮ってよ!』とせっつかれた時期もありました。彼女の作品は“瞬間芸術”ですから、誰かが踊らなければ、初めから何も存在していなかったのと同じです。きっと自分の作品をカタチとして残したかったのでしょう。しかし同時に彼女は、自分の公演がテレビ放映されると決まって『自分の作品がちゃんと伝わっていない』と思っていました。どのような方法を用いれば、ピナの芸術が魅力的に残せるのか? それは我々にとって常に重要な課題だったのです」。

ときに運命は残酷なことをする。ヴェンダース監督が“デジタル3D”という空間表現に長けた新技術を用いれば、ピナの芸術を映像にできると確信した時、ピナの余命は残りわずかになっていた。彼女の急死によって一時期、製作は中断されたが、ヴェンダース監督は「私もこの映画に出演したダンサーも彼女から様々なものをもらったのに、お礼を言う間もなかった。
映画を撮ることで彼女にお礼を言い、別れのあいさつがしたい」と撮影を開始。彼女が生前にのこした4つの代表作を中心に、舞踏家ピナ・バウシュの世界を3D映像で捉えた。「彼女はそれまでは存在しなかった芸術をゼロから作り上げた人で、同時に彼女がいなければ存在しなかった芸術はたくさんある」

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