2012年4月19日 11:16
CGにはできないこと。『ももへの手紙』監督が語る“手描きアニメ”の強み
「モデリングされたものを動かす3DCGと、毎カットごとに絵を作り出していくアニメは別のものなんですね。人間って少し角度が違うだけで、別の人に見えることがありますよね? そういったことがこだわりの部分だし、手で描くことの面白さなんです。作画監督の安藤(雅司)さんは、“表情”を描ける人。実は“画が上手い”のと“表情が描ける”のは別のことで、『ももへの手紙』のようなリアルな作品になると、大きな変化ではなく、ちょっとした目の動きや顔の角度が重要になってくる。安藤さんはそういう時の“捉え間違い”がない。本当に希有な才能だと思います」。
本作の根幹にあるのは母と子、そして亡き父の物語だ。それを実写映画ではなく、手描きのアニメーションで表現することに意味はあるのか? その答えは本作を観ればわかるだろう。
腕のあるアニメーターたちが1枚1枚、手で描いた画が連続して撮影された際に出現する“揺れ”や“表情”は、CGアニメや実写では決して再現できないものだ。「前作を作る前にも『10年先も観られる映画をつくります』と言いましたけど、この映画もずっと価値を持ち続けてくれれば」という沖浦監督。CGアニメが規模を拡大し、手描きアニメを担う人材が減りつつあるが、本作はその完成度の高さから、10年と言わず長きに渡って語り継がれていくであろう作品に仕上がっている。
『ももへの手紙』
4月21日(土) 全国ロードショー
女性たちの映画史にアプローチ「ウィメンズ・ムービー・ブレックファスト」刊行